Vol.51 ~ 医療機関の排水について ~  (2016.10.07)

2020年8月25日火曜日

下水について

10月に入り、爽やかな陽気になりましたね。

8・9・10の三連休で予定を立てられている方も多いのではないでしょうか。
ところで、大隅良典・東京工業大学栄誉教授が、ノーベル賞を受賞しましたね。

日本は2000年代以降、米国に次いでのノーベル賞受賞者輩出国になったようです。「オートファジー」を分子レベルで解明したことが評価されたようで、オートファジーとは、細胞に核のあるすべての生物が持っており、その細胞の中で起こっている分解作用だそうです。

オートは自分、ファジーは食べるという意味で、自分自身を食べる(分解する)ことだとのことだそうです。

例えば、一部のすい臓ガンでは遺伝子の異常などを原因として、オートファジーが過剰に働き、ガンの発症やガン細胞の増殖につながることが知られております。

このオートファジーを抑制することによって、ガン発症やガン細胞の増殖を抑えられる可能性があるとのことです。ガンだけではなく、神経変性疾患、Ⅱ型糖尿病等の生活習慣病、心不全、感染症、各種炎症など、さまざまな重要疾患の発症を抑止していることで大きな注目を集めているようです。

人は、ケガをしたり病気になったりして、病院等の医療機関のお世話になりますが、医療機関から排出される水はどうなんでしょうか?排水設備や下水道に与える影響は無いのでしょうか?


病院排水とは何か


医療機関での診察や検査業務において使用されるさまざまな薬品・器具には下水道へ流す際の規制対象となっている物質を含むものも少なくありません。

工場排水への関心は高いのですが、病院排水についての関心が相対的に低いのではないかと感じられます。
病院排水の種類を分類してみると、一般家庭と同様な一般雑排水もあるが、実験系排水、放射性排水、薬品系排水、薬品系排水を含んだ感染系排水といった病院特有の排水も多い。
工場排水と比較すると、病院の排水に関する規制はゆるいと見られております。
(「水質汚濁防止法」における排水基準参照)


医療機関では、どんな排水があるのか?

医療機関で排出されるものには、次のようなものがあります。

(1)透析廃水

人工透析装置内部の洗浄に酢酸や次亜塩素酸ソーダなどの薬品を使用します。
この場合、排水が酸性あるいはアルカリ性になり、水素イオン濃度(pH)が排除基準を超える恐れがあります。酸性排水が下水道に排除されると、汚水ますや管きょが腐食したり、下水処理に悪影響を及ぼしたり場合が考えられるため、除外施設等によって排水の中和処理を行う必要があります。

K市では過去に、透析排水による汚水管きょの損傷事故が発生し、原因者に対して原状復帰の費用を負担させた事例があるそうです。

(2)洗剤

病院厨房の食器洗浄機や洗濯場などで使用される洗剤や漂白剤の中には、アルカリ性のものもあり、トイレ洗剤ではアルカリ性のものや酸性のものがあります。
これらを大量に使用すると、排水の水素イオン濃度(pH)が排除基準を超える恐れがあるため、中和処理を行うか、中性洗剤を使用しなければなりません。

(3)レントゲンフィルムの現像液・定着液

レントゲンフィルムの現像液・定着液をそのまま排水すると、排除基準を超える恐れがあります。産業廃棄物として処理しなければなりません。

(4)水銀体温計、水銀血圧計、歯科のアマルガム

歯科治療に用いる充てん材のアマルガムですが、現在はあまり使われていないとのことですが、現在でも保険が適応するので、医院によっては使用される場合もあるようです。このアマルガムには水銀が含まれており、歯に充てんされたアマルガムを削ることにより、水銀が排水に含まれることが考えられます。診察台やバキューム装置のトラップはこまめに清掃し、沈殿・付着物は回収して産業廃棄物として処理しなければなりません。

(5)殺菌消毒剤

殺菌消毒剤には、フェノール類などの規制物質を含むものがあります。
水中にフェノール類がごく微量でも含まれていると、水に著しい異臭味をつけるので水道用水源にとって厄介な問題となります。
また、毒性の点からも魚類や微生物、下水処理場の生物処理などに悪影響を与えます。

(6)高温排水

医療器具の高温蒸気滅菌装置や厨房の食器洗浄機からの排水は、非常に高温になっており、高温排水が経常的に排水される場合、汚水管きょを損傷する可能性があるので、45℃未満に冷ましてから排水しなければなりません。



危険な排水


公共下水道に流されると危険度の高い排水には次のようなもとがあります。

(1)感染系排水

感染症患者に対する医療に伴う排水及び排泄物が未処理で公共下水道へ排出された場合、接触や飛沫による感染が考えられるため下水道の維持管理作業者に被害が拡大する恐れがありますので、殺菌等の処理が必要です。

(2)放射性排水

液状医療用放射性(RI)汚染物が排水されると危険ですので、減衰処理等を行わなければなりません。

(3)遺伝子組換え実験排水

生物の組換え実験排水による生物多様性への影響を防止するため、排水する前に殺菌等の処理が必要です。





編集後記


私の父が先日入院した際にも、横浜市内にある某病院では、病院関係者を対象とした「院内感染」についての講習会をやっておりました。

病院内についてはとても神経質になっておりますが、病院から排出するモノってどうなのかな?と、ふと疑問に感じたことがあります。

もしも、病院等の医療機関から、感染性のある病原菌が排出されていたら、考え過ぎかも知れませんが、詰まり除去作業や下水道の維持管理をする作業員の方にも影響を及ぼしかねません。

病院内または病院周辺での作業をする場合、排水設備、下水道施設を守ることは重要なことではありますが、それ以前に作業する人たちの安全を確保することが重要ですね。




最後までお読み頂き有難うございました



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