Vol.39 ~ 下水道における施設管理 ~ (2016.07.01)

2020年7月15日水曜日

下水道維持管理の施策について

本州ではまだ、降ったりやんだり、晴れた日は暑くなったりという日が多いですが、皆様、お元気にお過ごしでしょうか?

先週末は、イギリスのEU離脱という大きなニュースが世界を駆け巡りましたね。

短期的に円高、株安傾向は続くとしても、実際に英国がEUから離脱するためには2年の時間を要することから、それまで足もとのような混乱が長期に渡って続くようなことはないだろうと考える説もあるようですが。

他のEU加盟国が連鎖反応で離脱しないかどうか心配でもあります。

今回も、「下水道長期ビジョン実現に向けた中期計画」から部分的に引用させていただきます。



改築更新需要が拡大


下水道における今後の改築更新推計額は、7年後(平成35年度)は0.8兆円程度、17年後(平成45年度)は1.0兆円程度と推定されています。
これまでに蓄積されてきたストック量を考えると、その後も改築更新費は増加すると推定されます。
処理場・ポンプ場、管路の別に平均年齢を推計し、その推移を見てみると、平成45年以降、改築更新費は比較的耐用年数の短い機械・電気設備は概ね横ばいですが、管路施設や処理場・ポンプ場の土木・建築施設はまだ耐用年数に達していない施設が多く、今後も増加することが推定されます。

〇下水道事業の事業管理に関する現状分析と課題
  http://www.mlit.go.jp/common/001028150.pdf


中小市町村においても改築更新需要が発生


管路は古くから整備された大都市で当然のごとく平均年齢が高い。現在、大都市を中心に布設条件の悪い箇所等の改築更新が実施されていいます。
また、機械・電気設備は概ね18年以上となっており、これらの都市を中心に改築更新が実施されているようである。管理体制が脆弱中小市町村でも平均年齢が14~17年となっており、早晩にも改築更新需要が発生することが考えられます。



十分に行われていない維持管理


年間の下水道維持管理費は管路施設、処理場共に横ばいであるが、でストックは増加しつつあり、管きょ1m当たりの年間維持管理費は、10年前と比較すると約2割減、処理水量1m3/日当たりの年間維持管理費は約1割減少しているとのことです。

管路施設の点検・調査は全体的に見た場合では大都市ほど実施されている傾向であり、全国的には年間の実施延長割合では点検で1.1~2.6%、調査では0.3%~1.5%というのが現状のようである。中小都市を比較すると、老朽化管路施設の多い政令指定都市で最も実施されているようだが、それでも全管路の2~3%程度となっています。

それでも全管路の2~3%程度だとのことである。また、点検・調査実施都市数では、点検・調査実施割合は平均2~3割にとどまるようです。

今後は下水道施設の老朽化により、適正な維持管理を実施するために必要な経費が増加することが想定されます。



維持管理情報のデータベース化


管路施設については約2割、処理場施設については約3割の全国の都市で、維持管理情報を含む施設情報に係るデータベースを導入済とのことです。
一方、管路施設については約3割、処理場施設については約6割の都市で施設情報のデータベース化が行われておりません。

都市規模別に見ると、管路施設の維持管理情報を含むデータベース化は、政令指定都市で76%となる一方、1万人未満の都市で10%、1~5万人の都市で13%となっています。

処理場施設の維持管理情報を含むデータベース化は、政令指定都市で71%となる一方、1万人未満の都市で20%、1~5万人の都市で24%となっています。




編集後記


下水道施設の改築更新需要が拡大する一方で、十分な維持管理が行われていない、施設状況が把握できていないのが現状のようです。

私の経験から、下水道を管理する側の担当等者が退職や異動によって交代すると十分な情報の引継ぎが行われていない自治体も見受けられるようです。

今回も記述させていただきました、「維持管理情報のデータベース化」につきまては、急務の課題だと考えられます。今、どこを点検・調査して、どこが悪かったのか?報告書という「紙」の状態なのか?あるいは、個人のPCにWORDやEXCELあるいは他のファイル形式で眠ってしまっていたら、データベース化を行い、「見える化」を行うことが必要だと思います。



最後までお読み頂き有難うございました



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