Vol.25 ~ 下水道調査結果は、どのように判定されるのか?/あなたも今日から、下水道博士~(2016.03.18)

2020年5月26日火曜日

本管カメラ

3月と言えば、卒業式の時期でもありますね。

3月も第3週ともなれば、ほとんどの学校で卒業式が終わったのではないかと思われます。お子さんやお孫さんの卒業式へ参加された方もいらっしゃるのではないでしょうか。希望と不安を胸に、進学する方、社会人になられる方、だれでも一度は経験することなので、いろいろな想い出をお持ちの方がいらっしゃるのでないかと思われます。

3回にわたり掲載させていただきました、『下水道はどのようにして生まれたのか』はいかがでしたでしょうか?

下水道の調査判定項目について


前回は、下水道管きょ内の調査実施手順について簡単に紹介させていただきましたが、調査した結果はどのように判定されるのか、下水道の維持管理に携わっている方以外は、ご存知ないのではないかと思われますので、「下水道」を少しでも知っていただくために簡単に説明させていただきたいと思います。


国土交通省作成による資料では、下水道の調査判定項目は、次の10項目となって
おります。

(1)管の腐食    :劣化度調査のため、管壁の状況を調べます。
(2)上下方向のたるみ:流下能力調査のため、たるみの程度を調べます。
(3)管の破損    :劣化度調査のため、管の変形や断面のズレを調べます。
(4)管のクラック  :劣化度調査のため、管のヒビ割れ状況を調べます。
(5)管の継手ズレ  :劣化度調査のため、接合部の隙間やズレの状況を調べ
            ます。
(6)浸入水     :欠陥箇所からの地下水の噴出しや滲み状況を調べます。
(7)取付け管の突出し:流下能力調査のため、突出しの程度を調べます。
(8)油脂の付着   :流下能力調査のため、凝着した油付着の程度を調べます。
(9)樹木根侵入   :流下能力調査のため、木の根侵入の程度を調べます。
(10)モルタル付着  :流下能力調査のため、凝着したモルタルの程度を調べ
            ます。

マンホール間をつないでいる管きょは複数の管をつなぎ合わせる構造であり、(中には1本だけという箇所もありますが)上流マンホールから下流マンホールまでを1つの「スパン」と呼んでおります。


上記の(1)と(2)は、1本1本の管ではなく、スパンとして評価します。
(3)から(10)は、1本の管毎に評価します。


判定項目の診断(ランク付け)について


欠陥箇所への判定を行った後は、ランク付けを行う必要があります。

上記の(3)から(10)については、管1本毎に「a」,「b」,「c」ランク判定を行い
ます。「a」,「b」,「c」ランクの内容については、次のとおりです。

 a: 劣化・異常が進んでいる。
 b: 中程度の劣化・異常がある。
 c: 劣化・異常の程度は低い。

管1本毎のランク付けを行った後、次の式によって不良発生率を算出します。

不良発生率=a,b,cランクが存在する合計本数/1スパンの管本数×100(%)

例として、
10本の管で構成されたマンホール番号01~02までの1スパンを調査した結果、
上流マンホールから1本目の管に破損aが1箇所、3本目の管にクラックbが1箇所、浸入水cが1箇所、7本目の管にモルタル付着bが1箇所見つかりました。

不良発生率 = (不良管本数3本/10本)×100% = 30% となります。

次に、算出された不良発生率に基づいてスパン全体での判定を行いますが、最上位ランクが存在する比率より、A,B,Cのスパンランクを求めます。

スパンランクの判定基準は以下のとおりです。

 A: aが20%以上もしくは、bが40%以上存在している。 
 B: aが20%未満もしくは、bが40%以上もしくは、cが60%以上存在している。
 C: aが0%、bが0%、cが60%未満存在している。

さらに、「緊急度」の判定を行います。

 Ⅰ: Aが多い(A>B)。
 Ⅱ: Aは少ないが、Bは多い(A<B)。
 Ⅲ: Aは無く、Bが少なく、Cが多い(A=0、B<C)。

緊急度の区分は下記のとおりです。

 緊急度Ⅰは、速やかな措置が必要とする場合。
 緊急度Ⅱは、簡易な対応により、必要な措置を5年未満まで延長できる場合。
 緊急度Ⅲは、簡易な対応により、必要な措置を5年以上まで延長できる場合。


調査結果の診断における今後の課題とは・・・


下水道の調査はTVカメラ等の調査機器によって行われますが、異常箇所の判定およびランク付けのほとんどは、「人」によって行われております。

評価する人の経験や主観によって判定結果にバラツキが出てくることも否定することはできず、業務を発注する側では自治体の判定基準を持っていることも考えられます。

欠陥箇所の自動判定ができるシステムの普及が早く望まれるところです(平成25年度、国土交通省によるB-DASHプロジェクトによって画像認識カメラを用いた実証実験が実施されております)。


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そこで、お奨めのTVカメラシステム「ロビオン」を紹介させていただきます。
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編集後記


下水道を維持・管理してゆくことは、「想像していたより、ややこしい!」と思われた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
私たちが日常生活している地下には、このような下水道がはりめぐらされているおかげで衛生的かつ快適な過ごせることを忘れてはいけませんね。

下水道の評価方法として調査結果を基に、スパン単位(マンホール間の管きょ)で数値化することによって優先順位付け方法や、標準偏差を用いることによって、1スパンにおける異常箇所の集中度・分散度を導き出す(異常箇所が1箇所に集中していると危険度が高いと考えられる)という考えもありますが、機会があったら紹介させていただきたいと思います。

いずれにせよ、陥没や流下機能障害等が発生からの対応が発生する前に事前対処を行えるしくみを構築することが必要だと考えられます。
もう既に着手されているかと思われますが、できるだけ多くの下水道施設情報を蓄積してデータ化を行い、過去の事例を含めたデータ分析を行うことによって、事故や災害時のトラブルを未然に防げるシステムが望まれます。




最後までお読み頂き有難うございました



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